3月18日(木)午前6:30より、第一ホテルにて、
札幌市倫理法人会 第1223回 経営者モーニングセミナー
テーマ「音と気」
講師 札幌交響楽団 コンサートマスター
大平 まゆみ 氏
の御講演を受講しました。
・私は、バイオリン奏者です。
講演やお話するより、演奏する方が得意です。
まずは、エルガーの『愛の挨拶』を演奏します。
・娘が二人いて、今、カナダで医学の勉強をしています。
その娘が、
「日本には、素晴らしい言葉があるね。その一つが、朝飯前。」
と言いました。
“早起きは三文の徳”、とも言います。
今、皆さんとコミュニケーションできるのも、その御蔭です。
(以下は、である体の文体で。)
・文明が発達すると、生活は便利になるけれど、その反面、
人間の感覚・五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)は退化し、
鈍る。。
・毒入りギョーザ事件・・・
昔なら、食べてみて味で判ったが、今は賞味期限に頼っている。
・私は目が悪い。
オーケストラで薄暗い中、楽譜の小さな音符を見続けているから。
アフリカの大自然の中で生きている人の視力は凄い。
視力2.0ではなく、なんと20!
生活上必要だったから、必要に迫られて、目が良くなった。
・旭川で目の不自由な子供達のために、演奏する機会があった。
その後、初めて点字のお手紙を頂いた。
私は、職業柄、自分の指先の感覚は研ぎ澄まされていると思っていた。
しかし、点字の違いが判らなかった。ショックだった。
あの子達は、指先の感覚が研ぎ澄まされているのだ、と思い至った。
・今、私達の生活の中に、音が氾濫している。
いろいろな所で、いろいろな音楽が鳴っている。
でも、バイオリンのような楽器の、空気を振動させる生の音を聴く機会が少ない。
・音は、素晴らしい。モーツァルトは体にいい。
音の振動が、体の細胞の核の何かを、刺激し振動させて活性化する。
細胞の一個一個が、振動し元気になる。癒される。昔の思い出が、蘇る。
アメリカで16年間生活していた際、ある実験を目にした。
二つの植物を、同じ条件下で育て、一方には音楽を聴かせ、
他方には聴かせなかったところ・・・
音楽を聴いて育った植物の方の生育が良かったというもの。
・実は、私は、今朝、疲れていたが、さっきバイオリンを弾いて、元気になった。
・バイオリンの構造は・・・
胴体は木でできていて空洞。
ビオラ、チェロ、コントラバス等のバイオリン族の中で、
一番小さく最高音部を受け持つのがバイオリン。
弦は、金属弦とガット弦の2種類あるが、私は音色の優しいガット弦が好き。
この楽器は、300歳。何人もの人の手を経て、戦争も体験してきたと思うと、
いとおしくてたまらない。
弓は250年前のベルナン木。
弓に張られている白い部分は、白い馬の尻尾の毛。
松脂を弓に塗って、演奏する。
それでは、300年前の曲を。バッハの『ガボット』。
・モーツァルトは、何故、体に良いかというと・・・
鹿追町の牛舎では、モーツァルトを流すと、牛の乳の出が良いとの事。
士別町で、その話をすると、「もう、既に、ここでもモーツァルトを聴かせてます。」
恵庭のイチゴ農園でも、モーツァルトが、イチゴ栽培に使われている。
それでは、モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』をバイオリン一人バージョンで。
・私は、ロックも好き。
車の中では、クイーンをよく聴いている。
・“気”とは・・・
70年代にアメリカにいた頃、ヒッピーファッションや東洋思想が流行っていて、
座禅について、よく訊かれた。そして、“気”について考えるようになった。
日本語には、“気”の付く言葉が多い。
病気・元気・運気・気を集める・気を散らす等々。
気持ちしだいで、生活が楽しくなったり、辛くなったり。
気は短いより、長いほうが良い。
気は小さいより、大きいほうが良い。
気が弱いより、強いほうが良い。
・朝、起きたら、娘の目を見て、気持ちを込めて、
「おはよう!」と言うようにしてる。
朝の犬の散歩のとき、会った人にも、自分から「おはようございます!」と声を掛けている。
気を入れて、強い気持ちで、大きな気持ちで、生きて生きたい。
・今の、小学生は、文部省唱歌を知らない。我が娘も知らなかった!(笑い!)
歌い継がれていくべき、日本のとても大切な文化だと思う。
・最後に、田中さん(札幌市倫理法人会幹事)からリクエストのあった曲を、
皆さんのすぐそばを歩きながら弾きます。
バイオリンの響き・弦の擦れる音・指板を左手の指がたたく音など、生の音を感じて下さい。
時間の許す限り演奏します。
『ジュピター』(ホルスト)
『知床旅情』(森繁久弥)
『この道』(北原白秋・山田耕筰)
『おぼろ月夜』
『春の小川』
『どじょっこ』
『チューリップ』
『さくら さくら』
『霞か雲か』
『花』
『仰げば尊し』
<受講者全員からの、割れんばかりの熱烈な感動の拍手のうちに、終演。>
私、黒坂、数ある講演を聴いてきましたが、こんなにインパクトのある感動した講演は、初めてでした。
一日たった今も、思い出すと涙が出てくるほどです。
「演奏家は、演奏以前に、伝えたいものを、しっかり持っていることが大事。」という言葉があります。
その意味において、大平まゆみ氏の演奏が素晴らしいのはもとより、
あの朝の、あの会場には、まさに、大平まゆみ氏の愛が溢れていたのでした。
ちょうど、仕事で、大きなストレスを感じていた私には、大きな癒しと励ましになりました。
すっかり、大平まゆみファンになってしまいました。ブラボー!!!

演壇で『愛の挨拶』を演奏される大平まゆみ氏。
会場を、受講者の間を歩きながら小学唱歌を演奏される大平まゆみ氏。

セミナー後の朝食会で、大平まゆみ氏と私黒坂。
